経営者やそれなりに組織で地位のある人に聞いた話なのだが、忙しい原因の一つとして「思いつき発言」への対応が多いと言われています。大体は経験の少ない人から、あっ、若年者とは限らない人から「新規事業提案」をされたりすることです。
新規提案の全てが思いつき発言
本当に新規事業の提案ならいいのですが、ほぼ全てが
「私が考える理想のクルマ」
って感じの提案です。その手の提案って非常に凡庸な物が多く
- 本人が単に良いと思ったものの提案
- ダニング⹀クルーガー効果の頂点的発想
です。
本人が良いと思ったものとは?
理想のクルマ、理想のサッカーチーム、理想のセットリスト……こんなものです。小学校でのイベントの「理想の給食」に近いです。確かに年に一回程度理想の給食が配膳されますが、そのときだけは栄養バランスが悪くなっています。まあ、優秀な栄養士が頑張って破綻しないように調整した結果でもあります。
ダニング⹀クルーガー効果の頂点
ダニングクルーガー効果をご存知でしょうか? 誰でも物事を始めたときはそれで全てを知った気になってしまうが、経験を積むことによってその分野の難しさが分かるという現象です。
新しいことをちょっと聞きかじり、そんな事は簡単だよと勘違いしている状態が、ダニング⹀クルーガー効果の頂点です。厳しい言い方だとMount Stupidといい、訳すと「バカの谷」です。
評価のテーブルに乗せる時間が無駄
経営者って時間が貴重です。たとえどんな物でも「新規事業計画」を読むには数十分単位の時間が必要です。そんな中で、「理想の給食」や「バカの谷」状態の計画を評価のテーブルに置くことが時間の無駄と感じています。
某経営者が言うには
「一般社員の事業計画に問題があるのは、そういう立場で物事を見ることが出来ていないから」
と言い放っています。悪い言い方をすると、それは単なる「思いつき発言」の域をでていません。
学校の行事、先程の「理想の給食」で栄養とかコストとか考えずに提案することは推奨されていますが、小学校高学年くらいで普通は違和感がでて来ると考えます。栄養士、コスト、運用など中学生くらいになると考え出すのでは無いでしょうか?
ただ、就職すると何故か、理想の給食レベルの提案書をトップレベルに提出したりします。
自分の立場での提案を
一担当者として仕事をしているのであれば、その現場での問題点は必ずあります。その社員が提案すべきは事業計画などではなく、担当者としての疑問や問題を解決して提案することが求められています。
これは決して馬鹿にしているなどという問題ではなく、経営者とは見える視点が明らかに異なるということです。
「ネジを締める順番を一部変更すると、1ユニットあたり5秒、一日の生産数が100ユニットだとすると500秒。8.3分の削減。更にミスも減る。
こういう発見は経営者は出来ずに、現場担当のみが出来るものです。
さらに、この現場の発言は事実に基づくものであり、決して思いつき発言では有りません。